中曽根工業高校
「せ、先輩…」

気まずそうな後輩を尻目に、西田はちぃの落として行ったノートを拾い上げた。

「…………?」

躊躇なくノートを開くと、ノートにはコマ割のようなものがふってあった。

「漫画か……?」

読んでみると、どうやら恋愛漫画のような内容だった。


「うわっ…すげ」

後ろから後輩も覗き込んで、感心していた。

主人公が想いを寄せる男子が壁をおもいきり殴りつけ、後ろに立っていた主人公に気がつくも…無視されるシーン…。

(この男…誰かに…?)

「ちぃー!どうした?」

校庭を走っていくちぃに気づき、ヒノケンは後ろから声をかけた。

「あ………」



振り向こうとしたちぃの脳裏に、西田の言葉がよぎる。




"気色悪い"



ちぃは黙って走っていってしまった。

「?どーしたんだろ」


「生理じゃね?」

隣の土屋が笑って口はさんだ。

「んだそりゃ(笑)」

ヒノケンは笑って返した。
< 96 / 249 >

この作品をシェア

pagetop