one contract
one contract -mark 7- 葵目線
本当に、これで良いのか分からない。
この行動でどれだけお前を傷つけるかも、分からない。
‥‥美味しい、とは言えないな。
久しぶりに“特別”で無い人の血を味わった。
前はコレを普通に吸っていたんだよね。
今では“特別”な味を知ってしまったから、過去に口にしていたものが素直に美味しいと感じなくなっているのか‥‥。
「じゃあね、葵」
「‥うん、有難う」
彼女が生徒会室から出て行くのと同時に、先輩が入ってきた。
あの様子じゃ、結構前から廊下で終わるのを待っていたみたい。
「どうしたの?先輩。今日は生徒会の仕事、もう終わってるでしょう?」
何も言わず、険しい表情で此方を睨んでいる先輩。
あれ?僕、勘に障ることでもしたっけ?
なんて思いながら一つ笑顔を向ければ、先輩は長いため息を一つ吐いた。
「‥‥アイツ、泣いてたぞ」
「泣いていた、ね。‥どうして?」
この言葉も笑顔を添えて返すと、自分で考えろ‥ッ!!と怒鳴られた。
「お前、アイツが来るって分かってたんだろ?なのに何であんな真似したんだよ」
そう、ちゃんと分かっていた。
スミレは昼休みが終わってここを出る時に、『放課後、また来るね』って言っていたしね。
それを分かっていた上で彼女を呼んで、スミレに見せ付ける様にあんな事をしたのは‥