one contract

「契約すりゃぁ、“特別”な奴から貰った血が自分の中で結構な時間を生きるんだ。だから、あまり貰う必要がねぇっつぅ事」

ちょっと分かり難かったけれど、要するに僕たち吸血鬼は“特別”な人と契約して、その人からの血を口にすれば、普通の人から貰うよりは生命力が伸びる。って事か。

「‥‥契約っつぅのは‥‥なんてんだ？その‥重いぞ？」
「？　重い？」
「ああ。契約したら、吸血鬼はその“特別”な奴の血しか口に出来なくなるんだ。そんで、“特別”な奴はその吸血鬼だけの“餌”になるんだ。だからな、他の吸血鬼はその“特別”な奴を“餌”にする事は出来ないって事だよ」

そういう事だったんだ。
黝が『専用』って言っていたのは‥‥。





「それと、な。契約っつぅのは‥‥残りの人生を共に歩む事も意味するぞ」





「‥‥ぷっ、ふふ、あははははっ」
「っ～～～～～‥、笑うなぁーッ！！」

ゴメン、ゴメン。
でもこの台詞とこの台詞を言う人が、あまりにも合ってなくて。
と言えば先輩は完璧に茹で上がった、たこの様に赤くなって、うるせぇ！！と怒鳴った。

「ふふ‥、で、それはどうして？」
「わ、笑ってんじゃねぇ！‥け、契約した奴が死にゃぁ、そいつと契約した吸血鬼も死ぬからだよ」
「‥‥なるほどね」

相手の生命機能が停止したら、自分の中にある相手の血も死ぬって事か。
その吸血鬼は契約者以外の血は吸えない身体になってしまっているから‥‥



死ぬ時は一緒、だね。