one contract
「俺達も探すぜッ!」
「‥ありがとう」
扉を開くと、廊下の窓からギラギラと眩しい夏の太陽の光が足を射した。
ここから動くなと言う様に。
でも、僕は行かないと。
契約の仕方はまだ分からないけれど、スミレが契約してしまったら‥‥。
スタートを告げる様に、昼休み終了の鐘が辺りに波打った。
「桃、何処に行ったか予想付く?」
「ううん、‥分からない。ゴメンね」
「おい、もうすぐ授業始まんぞ?見つかったらヤベェよッ!俺はッ!!」
‥確かに、見つかるとややこしい事になるよね‥‥。
授業中、絶対に誰も行かない、来ない場所といえば‥‥、
「!! うおぃ!?何戻ってんだよ‥ッ!?」
「授業中に誰も行かない、来ない場所といえば、屋上しかないでしょ‥!!」
「「あっ!」」
僕は必死で階段を駆け上がった。
階段を下りて1階に付いた所だったから、最上階の5階の屋上に行くのは、そりゃもう大変。
エレベーターはこっちの棟には無いし。
もしそこにスミレがいなかったら、一体何処にいるんだ?
なんて考えながら着いた最上階。
此処の扉を開ければ‥‥、
「ぇ、なんで!?」
扉の取っ手を回すものの、扉が開かない。
鍵は壊れているから、というか、どっかの誰かさんが壊したから開く筈なのに。
「どうしたんだ‥!?」
「開かないの‥っ?」
少し遅れて、先輩と桃が来た。
「なんでか知らないけど、開かなくて‥ッ!」
「はぁ!?鍵は俺が壊してんだろッ!!」
ガチャガチャと音を立てて取っ手を回すが、何度やっても次の音が出てこない。
「っおい! ちょっと退いてろ!!」
そう言うと先輩は数歩後ろに下がって、扉に勢いよく体をぶつけた。
「っ、うお‥‥ッ!?」
バタンッと勢い良く扉が開く音と共に、情けない声を上げて転ぶ先輩。
風がこっちに向かって吹いてきて、少しだけ汗ばんだ体に涼しさを与えてくれた。
そして、視界には黝の姿と
‥‥スミレ。