one contract
one contract -mark 12- 葵目線
次から次へと落ちる、宝石の様な光を放つスミレの涙。
そんな涙を出す瞳は僕を強く捕らえて、放さなかった。
「どうして?どうしてボクの前で他の人から、血を貰ったりしたの‥っ!?‥‥もしかしてボクが倒れたりしたの、‥自分のせいだとか思ってるの!?」
「‥‥‥」
図星、だね。
何も言わない僕。
というより、正確には言えない僕。
スミレはしゃくり上げながらも、言葉を懸命に繋げた。
「‥ボクは、いいの、に‥。アオちゃんのせいで体がボロボロになったっていい」
お前が良くても、僕が駄目なんだよ。
嫌なんだよ。
「だから‥‥、」
だから?
「ボク以外の人から、貰ったりしないで‥ッ!!」
泣きながら言うものだから悲鳴に近かった、今のスミレの精一杯の心の叫び。
それは銃の様に、僕の中の何かを打ち抜いた。
「‥お前、自分が何言ってるか分かってる?」
決めただろう?
「分からない、分からないよ、そんなの」
スミレの為にも、自分の為にも、血はもう貰わないって。
「でも、ボクは‥‥」
懸命に悩んで決めた、ソレを‥‥
「アオちゃんが他の人から血を貰うなんてイヤだよっ!」
崩さないでよ
「ボクは、アオちゃんにとって‥、」
そんな、簡単に‥‥。
「一番近くの存在になりたいッ」
ああ、崩れていく。
「‥アオちゃんが、」
ガラガラと、音を立てて。
「好きなの‥ッ!!」