one contract
「あ、アオちゃん、公園に寄ろうよっ!ねっ!公園!!」
「別にいいけど‥」
ボクは、少し不機嫌なアオちゃんの腕を引っ張った。
公園はボク達の始まりとなった場所、出発点。
「ここで、お前はいつも踊ってたな」
「え?」
「って言っても、2年前から見た限りだけど」
「アオ、ちゃん?」
アオちゃんは何処か遠くを見ていて、あと少しで沈んでしまう夕日が、アオちゃんの向こうに見える。
ねぇ、アオちゃんってもしかして‥‥
「こっちに引っ越して来て、一人暮らしして、高校生活に疲れた時があったんだ」
「うん」
「その時に、いつも公園で楽しそうに踊っているお前を見つけて、なんか‥お前から目が離せなくなった」
「う、ん」
知ってる。その事分かってたよ?
だって‥‥
「入学式の前日に手当てしてくれたのが、初めてじゃないよね?」
「あ、分かった?」
「うん。前にも何回か、手当てしてくれたよね?」
「お前の踊りがまだまだ下手だった頃、よくこけていたから。何だか危なっかしくて放っておけなくてさ」
「えへへ、ありがとう」
「どうも」
そう言うアオちゃんはとても嬉しそうに見えた。
さっき少し不機嫌だったのが、嘘の様に。
アオちゃんが嬉しいなら、ボクも嬉しい。
アオちゃんが悲しいなら、ボクも悲しい。
これからは、もっとたくさんの時間を共有していく事になる。
だから、たっくさん良い思い出を創っていきたいな。
ねぇ、アオちゃんもそう思ってくれる?