君の忘れ物。

「あ、あの先輩！！ちょっといいですか？」

「ん？」

彼は振り向いて
不思議そうな顔で
こっちを見た。

「話があるんですけど…。」

「分かった。」



私は思い切って、
先輩を体育館裏へ
呼び出した。



「んで、何？？話って。」

「えーっと…その…」

私は緊張してしばらく黙って下を向いていた。


ーどうしよう。今頃何でもないです。なんて言えないしー

「大丈夫か？？」

優斗先輩は、
何もしゃべらない
私の顔を覗き込んだ。

恥ずかしくて
赤い顔を隠すために背を向けた。


「先輩！！」

「ん？？」

「私、先輩の事が好きです。」

「えっ！！」

お互い困って下を
向いていた。


「片岡。その…さっ…。えーっと。」

「やっぱり、困りますよね。私なんかにこんなこと言われたら。」

「そんなことは。」

「分かってます。無理だってことくらい。」

「…いやっ。それは…。」

「分かってます。なんか急にごめんなさい。じゃあまた部活で。」

私は恥ずかしくて急いで去ろうとした。



でも、腕をつかまれて止められた。