君の忘れ物。
「待てよ。何勝手に話進めてんだよ!!」
「だって…。」
私は先輩の顔を見られなかった。
顔を見たら泣きそうで、
苦しかった。
「だってじゃねぇよ!!俺の口から言ってねぇよ。」
「…はい。すいません。」
思わず謝っちゃった。
なんでだろう。
そのあと、グランドのベンチに二人で座った。
橙の夕陽を見ながら、優斗先輩はゆっくり話してくれた。
「俺は、お前のこと嫌いじゃないよ。側にいてくれると元気が出るんだ。」
「…はい。」
「でもな。俺、お前を妹みたいにしか思えないんだ。だから、お前の気持ちに答えることができないんだ。ごめん。」
先輩は頭を下げて謝ってくれた。
あたしの為に。
「そんなっ。先輩頭を上げてください。」
「いやっ。本当にごめん。でもお前の気持ち嬉しかった。」
「全然いいです。私の方こそごめんなさい。」
「いいって。もう、お互い"ごめん"は無しなっ。」
「はい。」
「よしっ。イイ子だ☆」
そう言って、先輩はあたしの頭をクシャクシャ撫でた。