楽天家の願い事
――俺が言いたいのはそういうことじゃない

と、友達は続けた。

僕はとりあえず彼の話を最後まで聞こうと、彼の方を向いた。

すると、彼越しに窓の外の空が見えた。

これでもかと降り注ぐ陽に萎縮してしまったような薄い小さな雲が1つ。

雲を数える時は1つ2つでいいのかわからないが……

多分、十分も目を離せばこの雲は消えてなくなっているのだろう――

はっとし、視点を友達に戻すと、友達は呆れたように僕を見ていた。

僕が軽く冗談交じりに謝罪を述べると、友達は思いの外真剣に言った。
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