楽天家の願い事
彼曰く、僕はさっき言ったようなメジャーなところは別に普通だが、細々としたところが本当に運悪いらしい。

彼は指を折りながら、いくつか例を挙げ始めた。

まず、僕と歩けば2回に1回は信号に捕まる。

僕がエレベーターに乗ったら、エレベーターが人数オーバーの悲鳴を上げる。

ゲームでボスを倒した瞬間停電する。

僕が歩けば、なぜか都合よくバナナが落ちていたことも一度ではない。

彼はずっと続けた。

僕は本当にこの友人は僕のことをよく見ているな、と感心していた。

更に彼曰く、僕は外目には気にしてるようには見えないが、実際は悩んでるのではないのか、と。

実際、僕は別段悩んでいなかった。

しかし、友達の心配の仕様から僕は本当についていないみたいだ。

でも心配された所で、僕の運が上向きになるわけでもない。

それに、友達には悪いが当の本人の僕が気にしていないのだから、別にいいではないか。

でも、自分のことをこんなにも心配してくれる友達がいることは、どこか嬉しい。

もう一度彼を見た。

しかし、ついまた彼越しにあの雲を見てしまった。

儚そうな雲は果敢にも太陽に立ち向かって行っていた。

しかし、小さな雲がかかって来ても太陽はびくともしていない。

雲からすけて、太陽光はより白く眩しくなった。
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