指切りげんまん
「どうかされましたか!?」

夜間着姿の七瀬がこちらに走って来る。
無理もない、早朝から家の玄関でここまで暴れられたら誰でも飛び出すだろう。

もっとも、この楼蘭荘が家と呼べるのかは謎だが。

「鍵はどこに?
外から男の悲鳴が…!」

「男…まさか!」

七瀬の表情に違和感を感じた。

懐から取り出した鍵を玄関下の絨毯をめくった所にある鍵穴に差し込んだ。
こんな所にある鍵穴に誰が気付くだろうか。


「…何をしてる」

背後から不機嫌そうな低い声。
その場に居た全員が振り返る。


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