指切りげんまん
「皆さんばらばらの場所に居られたら危険なんで」

「こいつらも行かすのか」

こいつらとは水守兄弟のことだろう。
たかだか伝承ごときでよくここまで嫌えるものだ。

「当たり前です」

「ならわしは遠慮する

こいつらと同じ空気なんて吸いたくもない」

「そうですか
では、ご勝手に

行くぞ、奏」

吐き捨て踵を返した佑の後頭部を刀で叩く。

「ちょ、痛いって!」

涙目で振り返る佑。
ちらりと後ろを見ると和尚の顔は怒りで紅潮している。

茹蛸みたいとは口にしないでおく。


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