指切りげんまん
視線が幾重にも向けられる。
少し気味が悪い。
何個もの目玉があたし達を観察するように見ている。
しかし、頭のてっぺんから足の先まで不躾にジロジロ見られたが不思議と悪意は感じなかった。

「お婆様をお呼びしますのでかけて御待ちください」

周りに一声かけて腰を落とす。
話題が、ない。

「あのー…」

「話しは婆さんが来てからだ」

「はい…」

会話を切り出すと隣りの坊さんに切られた。

把握しきれない状況に不安を覚える。
正面に座る佑を見るとむかつく位落ち着いていた。
これは待つしかないのか?

異様な空気が辺りを包みこむ。


「お待たせしました」

七瀬と車椅子の老女が帰って来た。
やせ細った老女の体を見て少し鳥肌がたった。

老女の定位置なのであろう椅子に七瀬が座らせた。
そこは恐らく全員の顔が見える場所に位置している。

「遅くなりすまない」

やせ細った体から発せられたとは思わない凛とした声が部屋に響いた。


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