君は君のままでいて
出来るものなら殴ってやりたい気分なんだけど、抱き締められている僕に出来る事といえば小さく首を振るぐらいで、その動きすら緑風の掌に阻まれてしまっている。


でも。


「………ど、して?」


整わない息のまま、僕は緑風に訊ねた。


だって、つい先刻まで泣き出しそうな表情をして僕を見ていた筈なのに。


なのにどうして、突然僕を襲っちゃう訳?


「んー。
安心したら、美樹が欲しくなったから?」


そんな僕の疑問に『なったから?』だなんて、いくら緑風でもヒドイよっ!


ムウッとしてしまった僕は、緑風の背中に回していた手を振り上げて攻撃しようとしたんだけど。
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