君は君のままでいて
「ママ。」


「………は?」


突然言われた言葉に、僕は思わず聞き返してしまった。


一体何を言いだすんだ、この人は。


「ふたりっきりの時ぐらい、ママって呼んで!」


ぶう、と。


子供みたいにほっぺたを膨らませて不満そうな表情を浮かべ、上目遣いに僕を見上げている妙齢の女性からそんな無茶を言われて。


「勘弁して下さいよ、お義母さん。」


僕は困り果てた表情というものを顔に浮かべながら、そう訴えた。
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