君は君のままでいて

輝く夜闇に乾杯を

そんなわけで。


僕達はなぜか予約もしていなかったホテルオーシマの中にある3つ星レストランの中庭に面した個室に向かい合って座っていた。


「んじゃ、まあ、生きてりゃ2000歳を越えちまったじっちゃまの誕生日に乾杯。」


他にも言い様はあるだろうに、わざわざそんな言葉を選ぶ緑風に僕は少し苦笑させられながらも、同じようにグラスを掲げて乾杯に付き合った。


「本当の乾杯は、お互いのグラスを中身が飛び出すぐらいに勢いよく合わせて、飲み物を混ぜるのが作法なんだぜ?」


グラスの中のシャンパンを一気にあおった緑風が蘊蓄を披露する。
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