君は君のままでいて
「へえー。
そうなんだ、でもどうして?
グラスが割れちゃわない?」


実はあんまりお酒を飲む機会のない僕は、細かな気泡の上がっていく綺麗な金色の液体を喉を潤す程度だけ飲んで、テーブルに戻す。


炭酸もちょっぴり苦手だから、美味しいとは思うんだけど緑風みたいに一気にあおったりは出来ないんだよね。


「ん。
昔の王候貴族ってのは常に暗殺の危険にさらされていたからな。
乾杯だと絶対に口をつけないわけにはいかないだろ?
だから、相手のと混ぜてお互いが飲むのを確認しながら自分のを飲んで、毒殺の危険を回避しようとしたってわけ。」
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