君は君のままでいて
きっと物凄く真っ赤になってしまっているんだろうな、と思うんだけど。


だけど。


「………ダメ、だよ?」


それでも、ちゃんと緑風に聞こえる位の声になるように頑張って、僕は言った。


「………すっげえそそる感じに真っ赤になって、上目遣いでンな事言ったって、逆効果だってのに。
天然?
天然で誘い上手なのか?
よく今まで犯罪者を量産しなかったもんだよな。
まっさらな美樹をゲット出来た俺って、実はすっげえラッキーじゃね?」


ナイフを持ったままの手を額に当てて、緑風は大袈裟に天井を振り仰ぐ。
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