君は君のままでいて
「んふ。
これ、美味しいよねー。」


空になったグラスを掲げて緑風に話しかけたんだけど。


あれ?


「おかしいね?
なんだか緑風が傾いて見えるよ?」


なんだか斜めに傾いている視界に、緑風の慌てたような表情が映る。


やだな。


そんな風に心配するような事なんて、なにもないのに。


変な緑風だな。


「らいじょぶだよう?」


僕はそんな緑風に笑って見せて。





そうして。


僕の記憶はそこで途切れてしまった。
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