君は君のままでいて

天使は舞い降りた

ひちゃり、と。


冷たいものが頬に当たる感覚に僕は重たい瞼を上げた。


「………美樹?」


耳元で聞こえる緑風の声に、まだボンヤリとしていた僕の意識が一気に覚醒する。


「え!
あ、え?
え………と?」


緑風の方へと顔を向けたものの、自分が知らない部屋のベッドの上に寝かされている事実に気付いて、僕の頭の中に疑問符がたくさん浮かんでしまった。


「緑………風?
えっと………僕どうしたんだっけ?」


訊ねる僕に、緑風は黙ったままスポーツドリンクのペットボトルを差し出した。
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