君は君のままでいて
ギュッと抱きついて、肩に顔を埋めながら謝罪の言葉を伝えた僕を、緑風は強く抱き返してくれる。


「………倒れていく美樹を見ていて、すっげえ胆が冷えた。
克服したつもりだったけど、やっぱり駄目だ。
倒れる美樹ってのは俺にとってはトラウマみてぇ。
自分でも、らしくないって判るぐらいに取り乱して、伝票にサインもしないままこっちへ来ちまった。」


まずったなぁ、と呟きながら言ってくれる緑風の言葉は、だけど。


僕には熱い告白に聞こえるもので。


緑風がどれだけ僕を心配して右往左往してくれたのかがよくわかった。
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