君は君のままでいて
「ホントにごめんね。
お酒に強くないって自覚していたつもりだったんだけど、油断していたのかな?
つい、はしゃいで飲み過ぎちゃったみたいだね。
反省してる。
本当にごめんなさい。」


緑風の広い背中に回した手で、しがみつくように緑風のシャツを握りしめる。


僕のこの気持ちが、密着した身体を通して緑風に伝わればいいのだけれど、僕達は言葉にしなきゃ確かな気持ちを確かめあえない人間だから。


「本当に、ごめんね。」


緑風に感じさせてしまった恐怖の記憶が、少しでも薄れる事を願いながら、僕は緑風の背中を強く抱いた。
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