制服のボタン
退屈な始業式を終え、体育館を出る沙織と私。
「あっ卓!」
あーあ呑気に手なんか振って。
勿論、そこには陵弥もいる訳で。
ため息ついて、顔を上げた私と目が会った。
予想はしてたけど…
私を見るなり驚き、顔付きが変わる…
隣で沙織に手を振っていた卓君まで、手を上げたままで固まってるよ…
無理もないか…
笑って誤魔化すしかないよね…
ちょっと苦笑い…
「沙織…先行くから」
「ちょ、凜花!」
私はその場を後にした。
人の波を掻き分けるける様に歩く私の腕を捕まれる。
「っ…」
振り向くと陵弥だった。
一瞬。
そこだけ時が止まる。
ざわざわと通路を渡る人波の声だけが耳に響いて。
「…何…?」
「いいからッ来いッ!」
ビクッ
怒った様な強い口調だった。
私は黙って陵弥に従った。
その様子を見送る沙織と卓君に。
私は苦笑いしながら肩をすくめた。