制服のボタン
連れて来られた中庭。
陵弥と出会った場所。
ここから何かが変わるなら、それもいい…
少なくとも私には特別な場所だから。
俯く私に。
「それって俺への当て付け?」
…っ…何…当て付けって…
顔を上げると。
私を真っ直ぐに見つめる。
いつもと違うのは。
陵弥の顔が怖い…
明らかに怒ってる…?
当たり前か…この1ヶ月まともに話しすらしてないや…。
話しを聞けって言われたのに突っ跳ねたのは私…
陵弥が怒るのも仕方ない…
でも…当て付けとかそんなんじゃない…
「髪を切ると当て付けになるの…?」
私がこう言うと。
「じゃあ何でッ!」
声を荒げる陵弥にビクッと身体が震えた。
俯く私を。
陵弥が抱きしめる。
陵弥の匂い…
陵弥の腕の温もり…
涙が出そうだった。
私は涙を堪えて。
「少し時間が欲しいの…距離を置きたい」