制服のボタン


連れて来られた中庭。




陵弥と出会った場所。





ここから何かが変わるなら、それもいい…





少なくとも私には特別な場所だから。





俯く私に。




「それって俺への当て付け?」





…っ…何…当て付けって…



顔を上げると。





私を真っ直ぐに見つめる。



いつもと違うのは。





陵弥の顔が怖い…



明らかに怒ってる…?




当たり前か…この1ヶ月まともに話しすらしてないや…。


話しを聞けって言われたのに突っ跳ねたのは私…





陵弥が怒るのも仕方ない…



でも…当て付けとかそんなんじゃない…






「髪を切ると当て付けになるの…?」





私がこう言うと。




「じゃあ何でッ!」





声を荒げる陵弥にビクッと身体が震えた。





俯く私を。




陵弥が抱きしめる。





陵弥の匂い…



陵弥の腕の温もり…






涙が出そうだった。





私は涙を堪えて。







「少し時間が欲しいの…距離を置きたい」






< 104 / 177 >

この作品をシェア

pagetop