制服のボタン
誰も傷付かない恋愛なんかない…?
沙織の言葉が耳の奥に響く。
「アンタは陵弥を傷付けたくないって言ってるけど、陵弥は傷付いてもいいからアンタと、凜花といたいって思ってるんだよ。それだけ愛されてんだよ…」
…傷付いてもいいから…?
沙織の言葉が胸に突き刺さる。
私は自分が傷付きたくないだけ…
陵弥の辛い顔を見ると自分が傷付くから…
そんなの…
わかってた。
本当は逃げてるだけだって。
「陵弥と話しなよ。見てるこっちが辛いよ…」
……………。
「じゃ先に行くね」
そう言うと沙織は屋上を出て行った。
沙織の後ろ姿を見送ると、入れ替わりに。
「ねぇ…」
…平山…
「ちょっといい?」
そう言う平山の顔は以前とは違って、私に敵意剥き出しだった顔じゃなくなっていた。
「…何?」
そう私が言うと。
「陵弥の事なんだけど…」
…また…?
今度は何…