制服のボタン
「嫌味言ったり、噂流したりしたけど。
陵弥は全く惑わされなくて。
てか…ずっとアンタだけ見てるから、噂だってわかってたんだよね…」
陵弥が言ってた言葉。
…噂だろ…
ずっと俯いて話していた平山が顔を上げると。
苦笑いを浮かべて…
「…助けてよ…」
「…えっ…?」
「陵弥さ、クラスの中でもピリピリしてて。
みんなビビってて教室中の雰囲気悪いんだよね。
誰も近寄れなくて…それに…」
それに?
「あたし陵弥とは何もないし。とっくに振られてたのに、あたしが執着してただけ…」
そう言った平山の顔が淋しそうだった。
「あたしもさ…あたしだけ見てくれる人がいいって思って…」
平山も陵弥がずっと好きで、振り向いて貰えない思いを抱えて。
きっと苦しかったんだろう…
平山は私に背を向けると。
「陵弥はアンタしか見てないよ…もっと自信持ってよ」
そう言うと足早に屋上を後にした。
…………。