制服のボタン
平山も傷付いたはず…
陵弥に振り向いてもらえない気持ちが、あんな形で私に向けられたのだから…
…もっと自信持ってよ…
平山の言葉が胸に滲みた。
自信なんか持てないけど…
陵弥を好きだって気持ちは変わらない…
誰かの幸せの影で、誰かは泣いているのかも知れない。
誰も傷付かない恋愛なんてある訳ないか…
沙織の言う通りかも知れない。
スカートのポケットからボタンを出して掌に乗せた。
「自信て、どうやったら持てるの?」
ボタンに問いかけても。
返事なんかするはずもなく。
それを握りしめて屋上を出た。