制服のボタン
もう一度

ボタン



つまらない体育の授業。

私はサボって教室から外を眺めていた。




沙織もサボったはずなのにどこ行ったんだか…





私の席から見える中庭のベンチには。




久しぶりに見る陵弥が、足をダラッと下げて寝そべっていた。





ベンチの背凭れに寄り掛かっていた卓君が、私に気付いた。




右手の人差し指を口元に立て。



左手でおいでと手招きをする。





はぁ…陵弥がいるのに行く訳ないじゃん…



私は首を左右に振った。




すると。




携帯が震え。




卓君からのメール。





――――――――


陵弥具合悪いから保健室に運ぶの手伝って。


――――――――




具合悪い…?


何で私が…

卓君1人でも十分じゃないの?




また携帯が震え。



ーーーーー――


震えてるから熱あるのかも。早く来て。


――――――――

窓の外を覗くと卓君が真剣な顔で見上げていた。




何か行かなきゃ不味いよね…


卓君てば真顔だし…


つうか来いって…睨んでる気もする…




綺麗な顔で睨まれると恐ろしい…



行きゃーぃいんでしょ…


あーもうっ!






私は渋々教室を出た。







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