制服のボタン
中庭に行くと卓君の姿はなくて。
卓君…?…何でよ…
私1人で運べっての?
恐る恐る、ベンチの背凭れ側から陵弥を覗いた。
…ドキッ…
久しぶりに見る陵弥だ…
…綺麗な顔。
…長い睫毛。
ちょっと開いた色っぽい口元。
…少し顔色悪い…?
陵弥は私に全く気付いてなくて目を閉じたまま。
卓君に語りかける様に喋り出した。
「なぁ卓…」
急に喋り出すからビクッと身体が跳ねた。
「どうやったら凜花は、俺の事信じてくれるんだ…」
えっ…?…私…?
「俺、傷付けてばっかだ…強引に抱こうとして泣かしたり…」
…ちょっ…何言ってんの…
「俺を信じろなんて言って…凜花にあんな顔させて…」
…陵弥…
陵弥は全く私に気付いてないけど。
それが陵弥の本音…なの?
「俺…好きな女泣かせて…何やってんだろ…
綺麗な髪だったのに…バッサリ切りやがって…」
…りょ、陵弥…?
「正直ショックだった…それだけ凜花を傷付けてたのかって…」