制服のボタン
「凜花にボタン返されたら、どうしたらいいんだ…」
…ボタン…
スカートのポケットからボタンを出した。
そして。
「なぁ…すぐ…る?」
卓君だと思っていたのは私で。
パチッと目を開けた陵弥の目の前に、差し出したボタン。
驚いて上体だけ起こす陵弥が。
「いつから居た?」
「…最初から…」
「どっから聞いてた…」
「多分…全部…」
「…返す気?」
そう言うと。
私から目を反らした。
「…陵弥はどうして欲しいの…?」
すると。
私を見上げて。
陵弥の瞳が私を捕らえると。
「…凜花に持ってて欲しい…」
私の目に涙が溜まる…
「…陵弥は私が好き…?」
「あぁ…好きだよ」
涙が頬を伝う…
「…ボタン…返さない…
私も…陵弥が好き…」
陵弥の腕が伸びて来て。
覗き込む私の首に巻き付く。
私の涙が陵弥の頬にポタッと落ちる。
優しく引き寄せられて。
…唇が重なった。