制服のボタン
「で?川上 陵弥と付き合う訳?」
半ば呆れ顔の沙織の言葉を。
「んな訳ないからッ!」
強く否定した。
あんな変な男と付き合う訳ないじゃん。
すると沙織が。
「マジな恋愛しなよ。アンタも好きな人が出来れば変われるんじゃないの?」
…好きな人…ねぇ。
こんな"好き"もよくわかんない私がマジ恋愛なんて出来んのかな…
握り締めていたボタンを摘まんで片目に当てて見た。
真ん中の小さな4つの穴の一つから、窓の外を覗いて見た。
焦点の合わない小さな穴。
一度ズラしてもう一度当てて見る。
「あっ…」