制服のボタン
…嘘でしょ…
すると卓君が俯いたまま。
「…昨日…沙織とケンカしちゃって…」
「…あの娘が原因…?」
ゆっくり顔を上げた卓君が。
とても切なそうに顔を歪め。
「…昨日…キスしてるとこ見られちゃって」
はっ?キス!……はいっ?
ちょっと待って…
キスってあの娘と…?
驚いて隣の卓君を凝視したまま固まった。
「それは聞き捨てならねぇな」
って。
私の頭の上から。
いつの間にか現れた陵弥が口を挟んだ。
…何で来んの…
「陵弥なんか呼んでないけど…」
私がそう言って横目で見上げると。
「ばーか。なんかは余計だ」
そして。
私と背を合わせる様にベンチに凭れた。
「卓…全部話せ」
陵弥が言うと。
卓君は静かに話し始めた。