制服のボタン
穴から見えた小さな景色の中に、さっき会ったばかりの川上 陵弥を見つけた。
ボタンを外して窓の外を見ると。
中庭のベンチに寝そべって、その周りを数人の女子が囲んでいた。
ふぅーん。
つまらなそうな顔して。 周りを取り囲む女達を無視するかの様にニコリともせずに。
…フッ…
私のつまらない日常と被って見えて何か笑えた。
"俺の事忘れない様に"
ふと陵弥の言葉が浮かんで。
握っていたボタンを親指と人差し指で摘まんで見つめた。
俺の事忘れない様にって…
何の意味よ…