制服のボタン


陵弥も男の腕を掴んだまま、その様子に驚いていた。




普段は人懐っこい卓君が、マジで切れちゃった…




沙織でさえ目を丸くして。




男から沙織を離すと卓君は。





すっぽりと、沙織を包み込む様に抱きしめた。



「…沙織は誰にも渡さない…」




そう言って。





きっと…この時の卓君には沙織しか見えてなくて。




陵弥や私…そして男達なんか目に入ってなかったみたい……。






陵弥がそんな卓君を見て、口元を緩ませると。





掴んでいた男の腕を離した。





陵弥が睨むと、男達は舌打ちしながら退散した。





…無言の圧力だよね……





陵弥は私の腕を引くと。





「ばーか。っとに無防備だな!」





って。



私を引き寄せて。



「見てみ」




って卓君の方を見ると。




卓君の胸で泣きじゃくる沙織を宥めながら。



「俺は絶対別れないからな」



って言って見つめ合って。




「…卓…私も別れたくない…」




って言う沙織を卓君が抱きしめた。









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