制服のボタン
幸樹君に抱く感情は恋じゃない。




んー…弟みたな感じかな…。



「ごめん幸樹君。陵弥と帰るから…」





断ると。


一瞬顔が曇った…?


直ぐ笑顔に戻って。




「チェッつまんねぇ…凜花ちゃん陵弥ばっかり。アイツのどこがそんなにいい訳?」





って。





陵弥のどこが…って。




「…私が初めて好きになった人だから…」




私は幸樹君を真っ直ぐ見るとそう答えた。






…クスッ…




私を見て笑った。




「俺を好きになってよ」




な、何を…




下駄箱に寄り掛かっていた私に近付いてくる幸樹の顔。


陵弥と同じ目をして見つめる幸樹君。


………やだ……



その目…反らせなくなる…



私はギュッと目を瞑って身を捩った。




頬に触れた幸樹の手…




唇に触れた僅かな感触。



…キス…?…



「凜花、待たせて悪かっ…」




そこへ陵弥がやって来て。


私と幸樹君との様子に顔が変わった。




「幸樹…お前何かした?」



ニコッと笑顔の幸樹君。



引き吊る私。








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