制服のボタン
陵弥は私の腕を掴むと。
「行くぞ!」
と、私を強引に引っ張って歩き出した。
「ったく幸樹に関わるとろくな事ねぇな…何された?」
「だ、大丈夫。何もされてない…」
キスされたなんて陵弥には言えない。
何だか幸樹君って出会った頃の陵弥みたい…
従弟なんだし、似てるだけかも知れないけど…
強引で。
真っ直ぐ私を見る目。
自信たっぷりな言い方。
俺を好きになってよ…
…私は陵弥が好き。
だけど。
陵弥と同じ目で見つめる幸樹君に、吸い込まれそうになる…
「陵弥…私の家まで来る…?」
少しだけ動揺してしまった私は、陵弥に包まれたかった。
少し驚いた様子で陵弥が。
「誘ってんの…?」
そう私を見下ろした。
「…ぅん…」
と、小さく頷いた。
きっと陵弥は気付いていたのかも知れない。
私が振り回され初めている事。