制服のボタン



…アレ?…

全然痛くない…ってか私、殴られるんじゃなかったの?




いつの間にか捕まれていた肩からも手が離れ、ゆっくり目を開けると。






えっ!…陵弥?




「女に手上げるなんて最低だなぁ」





振り上げられていた男の腕をガッシリ掴み、片側の手で男の胸ぐらを掴んで睨みつける川上 陵弥がいた。







「ヒ、ヒィッ川上ッ!」







「失せろッ!」




睨まれた男は青ざめ腰砕け。

陵弥に解放されるとあたふたと逃げていった。





何アレ…ダサ過ぎでしょ。
ヨロヨロと逃げる男の後ろ姿に笑いが込み上げた。






「オイツお前!」






陵弥の声で我に返った。





あっ助けてもらったんだったし、一応お礼言わなきゃ…





「ありが…と…」

「無防備過ぎだ!」



へ?

言いかけた言葉を塞ぐ様に陵弥が言う。





そして。




ポカンとする私に陵弥の綺麗な顔が近付いた。






< 16 / 177 >

この作品をシェア

pagetop