制服のボタン
…アレ?…
全然痛くない…ってか私、殴られるんじゃなかったの?
いつの間にか捕まれていた肩からも手が離れ、ゆっくり目を開けると。
えっ!…陵弥?
「女に手上げるなんて最低だなぁ」
振り上げられていた男の腕をガッシリ掴み、片側の手で男の胸ぐらを掴んで睨みつける川上 陵弥がいた。
「ヒ、ヒィッ川上ッ!」
「失せろッ!」
睨まれた男は青ざめ腰砕け。
陵弥に解放されるとあたふたと逃げていった。
何アレ…ダサ過ぎでしょ。
ヨロヨロと逃げる男の後ろ姿に笑いが込み上げた。
「オイツお前!」
陵弥の声で我に返った。
あっ助けてもらったんだったし、一応お礼言わなきゃ…
「ありが…と…」
「無防備過ぎだ!」
へ?
言いかけた言葉を塞ぐ様に陵弥が言う。
そして。
ポカンとする私に陵弥の綺麗な顔が近付いた。