制服のボタン
そして翌日も幸樹君は私の元を訪れて。
「今日は陵弥は遅くなるから、先に部屋で待っててって伝言だよ」
「部屋で…?」
最近は幸樹君が居候してるから、陵弥の家には行かない。
家で待ってて…
何となく違和感を感じながらも。
陵弥の家は久しぶりだし、待っててと言う言葉を鵜呑みにしてしまった。
「凜花ちゃん帰ろ!」
そう言う幸樹君の笑顔に。
素直に頷いてしまった。
帰り道。
陵弥の家は学校から近いのにわざわざ遠回りして。
「何で近いのに遠回りするの?」
「だってその方が凜花ちゃんと長く歩けるでしょ」
なんて胸の奥をくすぐる事を、サラリと言ってしまう幸樹君。
こうゆうとこ陵弥に似てる。
「凜花ちゃん手繋ごーよ」
って強引に私の手を掴む。
ちょ、ちょっと…幸樹君。
私に嫌だと言う隙を与えない。
たわいもない会話をしてるのに笑顔を向けて。
本当に眩しいくらいの笑顔で…