制服のボタン
軽く唇に触れると直ぐ離れた陵弥が。
「助けたお礼」
そう言って私を見つめる。
文句の一つも言ってやろうと思ったのに…
何故だかわからないけれど、優しい瞳が真っ直ぐ私を見据え私を捕らえる。
まるで催眠術か何かの術にでも掛かったかの様に身体が動かない。
その目を反らしたいのに反らせない。
まだ少し肌寒い風が私の髪を靡かせ、乱れた髪が頬にかかる。
陵弥の腕がスッと伸びて長くしなやかな指先が頬にかかる髪を絡める。
まるでキスするかの様に陵弥の口元に運ばれる髪。
…ドキッ…
身動き出来ない私はその陵弥の仕草に鼓動が激しくスピードをあげる。
するとその様子に満足するかの様な笑みを浮かべ私に向かって。
「綺麗な髪だな」
一言呟いた。