制服のボタン
私を縛る様に絡み付く陵弥の視線。
それだけで身体の力が抜け出し、頭が痺れる。
触れられてもいないのに熱く熱を帯びる身体。
陵弥の手が私の長い髪に指先を通す。
その瞬間、ピクッと反応してしまう。
柔らかく微笑み目を細めた陵弥が。
「俺と一緒に来な」
そう言うと私の目の前に手を差し出した。
私は術に完全に掛かり、陵弥の手を握った。
促されるままに私は陵弥と歩き出していた。
この出会いは偶然だったのだろうか…
それとも必然…
この時彼の手を拒んでいたら2人の運命は違ったものになっていたのかも知れない。
この時の私は。
深い術に落ち、思考回路は停止していた。
何処へ向かうのか黙って陵弥に連れられるまま歩いていた。