制服のボタン



「か、帰るッ!」





勢いよく立ち上がる。





すると。


陵弥は目の前にカップを差し出した。





カップからは白い湯気が上がりコーヒーのいい香りがした。




私はそのカップを見つめた。



「噂だろ?」





頭の上に降って来た言葉。






噂だろって、まるで本当は違うだろって…
そう言われてるみたいな言い方…





「それに…噂なら俺だってあるしな…」





そう言った陵弥が目を伏せたのは…気のせい?






私はまたソファーに座った。




それを見て陵弥は柔らかく笑うと、私の隣に腰をおろした。





ちょ、ちょっとぉ…何で隣なワケ…




やっぱり私コイツに…


「なぁ?」




「は、はひぃッ?」




意識しすぎて上ずった変な声が出ちゃった。

しかも思い切りのけ反ってるし。





すると笑いを堪えながら陵弥が。





「お前馬鹿だろ!俺に何かされると思ってる訳?」





「だ、だって普通そう思うでしょーが!」




「何もしねぇーよ!」



へ?


あぁそう…何もしないのね。


って…えっ?









< 23 / 177 >

この作品をシェア

pagetop