制服のボタン
「か、帰るッ!」
勢いよく立ち上がる。
すると。
陵弥は目の前にカップを差し出した。
カップからは白い湯気が上がりコーヒーのいい香りがした。
私はそのカップを見つめた。
「噂だろ?」
頭の上に降って来た言葉。
噂だろって、まるで本当は違うだろって…
そう言われてるみたいな言い方…
「それに…噂なら俺だってあるしな…」
そう言った陵弥が目を伏せたのは…気のせい?
私はまたソファーに座った。
それを見て陵弥は柔らかく笑うと、私の隣に腰をおろした。
ちょ、ちょっとぉ…何で隣なワケ…
やっぱり私コイツに…
「なぁ?」
「は、はひぃッ?」
意識しすぎて上ずった変な声が出ちゃった。
しかも思い切りのけ反ってるし。
すると笑いを堪えながら陵弥が。
「お前馬鹿だろ!俺に何かされると思ってる訳?」
「だ、だって普通そう思うでしょーが!」
「何もしねぇーよ!」
へ?
あぁそう…何もしないのね。
って…えっ?