制服のボタン
つまらない女
「それで付き合うの?」
相変わらず気だるい朝の教室で、沙織に昨日の事を報告した。
「さぁ…」
「何それ?」
「だって付き合おうとか言われた訳じゃないし…」
「はぁぁッ意味わかんないからッ!?」
腑に落ちないって顔をする、沙織の言いたい事はわかる。
私だって意味わかんないもん。
あの後だって携帯番号とアドレス交換して、コーヒー飲んで帰って来ただけ…
別に何された訳でもない。
ってか、する気もないみたいだった。
信じてみろって何を信じろって事なのかな…
すると沙織が。
「まぁ信じろって事だから、凜花に彼は信じて欲しいって事でしょ。」
「だから何を…」
「彼自身じゃないの?」
陵弥自身?
「つまりさ、噂じゃなくて本当の彼自身を信じてって事じゃない?」
噂じゃない本当の…
机の上に転がしたボタンを人差し指でなぞってみる。
この学校の生徒なら誰しもが制服に付いてるボタン…
"俺が信じられなくなった時返して"
確かに陵弥はそう言った…