制服のボタン
「で、今回は何か気に入らなかった訳?」
翌日、机に片肘付いて気だるい朝の教室で。
親友の遠藤沙織に昨日の事を報告していた。
「…キモイし。つうかヤル気満々でウザッ」
「アンタもいい加減にしな!それわかってて付き合ってたんでしょーが。
いつか痛い目みるよぉー」
男と別れる度に繰り返される会話。
沙織の言う通り、低レベルとわかっていながら私も同じ事を繰り返す。
低レベルなのは私の方か。
「大体さぁアンタがマジで恋愛する気がないから、そんな男しか寄って来ないんだよ。
アンタのルックスに騙される男もアホだけどさ」
毒舌な沙織に散々説教され、憂鬱な気分で外を眺めた。
窓際の私の席から見える中庭。
その中庭の片隅に少し古い木のベンチが置いてあった。
「沙織。私サボるから後宜しく」
「ちょ、ちょっと凜花!」
沙織の声を無視して立ち上がり、ニマッと笑って教室を後にした。