制服のボタン
「いつもは男を振り回すアンタが、今度アタフタしてんのは凜花の方じゃん」
確かに沙織の言う通りだけど…
「気持ちのないヤツと付き合っても嫌なとこしか見えないけどさ、今度は嫌じゃないんでしょ?」
…嫌…?
「…嫌…じゃないかも…」
「なら、応援するし。ただウザイ女子には気を付けな!」
「何でよ?」
「川上 陵弥の取り巻きの中に柄の悪い連中と繋がってるってヤツもいるみたいだからね。
そんなのに付け狙われたら大変だよ。
アイツと付き合うなら、そうゆう女子を敵に回す訳だから気を付ける事ね」
柄の悪い連中…
陵弥の取り巻きを敵に回すか…
あり得るかもね…
「噂ばかり信じて真相も確かめず好き勝手言ってるヤツばっかりなのに、
噂なんか関係ないって言ってくれた男なんだから信じてみれば?」
沙織はそう言って目を細めた。
陵弥がくれたボタンを掌に乗せ。
そしてギュッと握った。
「私…信じてみようかな…」
沙織はポンと私の肩に手を置いて微笑んだ。
鉄柵に寄りかかる沙織のバックには雲一つない真っ青な空。
ちょっと曇りがちだった気持ちが軽くなった。