制服のボタン
授業なんて集中出来るはずもなく。
何となく外を眺めていた。
ポケットの中の携帯が震え、ディスプレイに浮かぶ名前にドキッとした。
…陵弥…
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暇そうな顔してんな?
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…暇そうな顔…?
窓からベンチに目を向けると、笑顔で手を振る陵弥の姿がそこにあった。
鼻の奥がツーンとして。
…ヤダ…泣きそう…
…何でよ…何で泣きたくなるの…
私も携帯のボタンを打ち込み。
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会いたい
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一言だけ送信した。
陵弥は携帯を確認すると、笑顔は消え。
真っ直ぐに私を見上げていた。
また携帯が震え。
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ばーか!今直ぐ会いに来い
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私は携帯を胸に抱えギュッと握りしめた。
そして…
教室を飛び出した。
背中に先生と沙織の声が聞こえたけど。
陵弥に会いたい。
今直ぐに会いたい…
それだけだった。