制服のボタン
その瞬間、髪に絡んでいたボタンが地面にポタッっと落ちた。
それを拾って。
「あの…これ…」
男の前に差し出したけど。
「やるよ」
…へっ?
やるよって、ボタンなんかいらない…
訳がわからず掌の上のボタンから、ゆっくりと視線を移すと。
フッと柔らかい笑みを浮かべて私を見ていた。
…よく見りゃ綺麗な顔。
ちょっと見とれる…
「俺に見とれてんの?」
はい。そうです。
アップも綺麗…
…ってか…えっ?……
ええぇぇぇ!!!
き、綺麗な顔だけと近いからッ!!
目の前には綺麗な顔。
一瞬目の前が暗くなって。
思い切りのけ反る私の唇に何かが触れた。