制服のボタン
その顔を見ると。
胸がスギンと痛む。
「ごっ…ごめ…」
目からは涙が溢れ出し。
陵弥が抱きしめた。
私の手を握ろうとして陵弥の顔が曇った。
手首には、押さえ付けられた時の跡が赤く残っていた。
陵弥はベッドの横に膝を着くと、私の両手を握り自分の額に当てた。
「ちっ…クショウ…」
陵弥…泣いてる…?
私は胸が締め付けられる思いがした。
「陵弥…お願い。そんな顔しないで…」
すると陵弥は。
額に当てていた私の手を唇に当て。
跡の残る手首に。
顔を歪めてキスをした。
こんなに苦しいキスを人は出来るものなのか…
この時。
私は初めて。
人の苦しみと悲しみを痛感した。