ハイスクールデイズ
「噂は本当だったのか」

ぽつりと呟き、痛ましそうに目を細めたのは、あろうことか伊集院正隆だ。
言葉を失ったモモの背後から、絶妙のタイミングでバイクが近づいてきた。

正隆は、バイクに乗った青年が差し出した朝刊を受け取ることはせず、立派な門に備え付けられた新聞受けを指差した。

新聞受けにはすでに四種類もの朝刊がおさまっている。
五種類もの朝刊を購読するなんて……。

頭の中で購読料を計算しぞっとした。
それだけのお金があれば、どれほど家計が助かることか。

「新聞配達なんかより、もっとらくに稼げるバイトがあるはずだ」

心の呟きを読んだかのような絶妙さで、正隆が呟いた。

「さがしてやろうか?」

哀れみを含んだようなやさしい声。
モモは唇をかみしめたまま首を横に振り、拒絶するように背を向けた。

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