ハイスクールデイズ
腕をつかむ手がふわりと離れた。

けれども解放されたと思ったのはほんの一瞬で、次の瞬間には息が止まるほど強く抱きしめられていた。

「きゃっ、な、何を!」

悲鳴まじりの声をあげると、黙れとでも言うように唇を塞がれた。
こじあげられた歯の隙間から、柔らかいものが入り込んでくる。
しびれた頭の片隅で、舌を入れられたのだと理解した。

息ができない。
酸素が足りない。
頭の中で何かがぐるぐる回っている。

それでも無意識に手を伸ばし、広い背中を抱きしめた。

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