ハイスクールデイズ
「あの……」

ためらいがちに声をかけると、機械仕掛けのようなぎこちなさで上半身がゆっくりと持ち上がった。

眼鏡をかけていない顔は蒼白で、悲しいほどに無表情だ。

「俺は野蛮で、強引で、世界一の愚か者だ。お前には全くふさわしくない」

淡々と告げる声。
けれども膝の上で固く握り締められた手は、震えている。

「すまなかった」

何かを振り切るように立ち上がった正隆は、深く、深く頭を下げて、静かに保健室から出て行った。

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